和名で橙(だいだい)とも呼ばれるビターオレンジの木。その木からは3つの精油が作られるのをご存知でしょうか?精油は様々な植物から作られていますが、その中でも1つの植物から3もの精油が作られるのは、とても珍しいことです。では、どのような精油が作られているのかでしょうか?
精油の基礎知識
植物の学名とは?
植物の学名は、ラテン語を用いて【属名+種小名】で表記されます。例えば今回タイトルに上げたビターオレンジの場合は、学名は、ミカン科を表す「Citrus」、種小名はダイダイを表す「aurantium」 ⇒ Citrus aurantium が学名となります。まれに亜種や変種など細かく表記する場合もあり、その場合、亜種なら「ssp.」、変種は「var.」と追記されます。ビターオレンジも、「 Citrus aurantium var . amara」と表記される場合もあります。
ビターオレンジから作られる3つの精油は、精油としての名前は違えど、同じ植物から作られる精油なので、学名は同じです。
精油名は違うし、香りも全然違うのに、学名が同じなんて不思議ですね。
精油の「香りのノート」とは?
アロマには揮発度を表す「ノート」が存在します。
メモをとるノートじゃないですよ!
香りの揮発度が高いものをトップノートと言い、低いものをベースノート。その中間のものをミドルノートと呼びます。揮発度が高いトップノートは、肌につけると短時間で香りが広がりますが、香りの持続時間が短くなります。一方、揮発度が低いベースノートは穏やかに香り、持続時間が長いため、強く香ることはありませんが、長時間楽しむことができます。
ビターオレンジの木から作られる3つの精油
実:ビターオレンジ精油
ビターオレンジの実の皮(果皮)から抽出されるのが「ビターオレンジ精油」です。香りのノートは、トップノート。やや苦みを感じるスッキリとした柑橘の香りが特徴で、男性にも人気の香りです。
枝と葉:プチグレン精油
ビターオレンジの木の枝と葉から抽出されるのが「プチグレン精油」です。香のノートは、ミドルノート。葉の持つフレッシュさと花の持つ甘みをあわせもった香りです。
花:ネロリ精油
ビターオレンジの花から抽出されるのが「ネロリ精油」です。こちらも香りのノートは、ミドルノート。白い小さな花を咲かせるビターオレンジの木。その華やかさと柑橘のフレッシュさを併せ持つ香りは女性に人気で、シャンプーや化粧品にも使われています。
3つの精油の抽出方法
圧搾法
主に柑橘系精油を抽出する際に使用される方法です。現在主流になっているのは、ローラーと遠心分離機を使うコールドプレス(低温圧搾)製法です。ローラーで果皮の表面に傷をつけ、油嚢から芳香成分を含む液体を抽出します。そこからろ過して余分な果皮を取り除き、遠心分離機にかけて精油成分のみを抽出する方法です。急速に圧搾した時と違い、熱による品質変化が少なく、精油本来の香りを保つことができます。ビターオレンジ精油はこの方法で作られています!
水蒸気蒸留法
花や葉、樹木など様々な精油を抽出する際に使われる方法です。原料となる植物を蒸留窯に入れ、水と共に沸騰させるか、蒸気吹き込むことで、植物の芳香成分を蒸発させます。そして蒸発した芳香成分を冷却することで液化させて精油を作る方法です。その際にできる副産物として「芳香蒸留水(フローラルウォーター)」があります。プチグレン精油とネロリ精油はこの方法で作られています。
まとめ
上記で紹介しましたが、ビターオレンジの木から作られる精油3つをまとめるとこうなります。
ビターオレンジ精油 | プチグレン精油 | ネロリ精油 | |
精油が取れる部位 | 果皮(ビターオレンジの実の皮) | 枝・葉 | 花 |
精油を作る方法 | 圧搾法 | 水蒸気蒸留法 | 水蒸気蒸留法 |
香りのノート | トップ | ミドル | ミドル |
3つの精油は同じ木から作られますが、香りがそれぞれ違い、ブレンドしても楽しむことができます。ネロリが高価であることがネックですが、一度すべて揃えて比べてみるのも良いかもしれません。「アロマは良く知らないけど、これは知ってる!」と言うマメ知識にするも良し、ここからアロマを学ぶも良し。興味を持っていただければ幸いです。11月3日のアロマの日に向けて様々なイベントがあるようなので、興味がある方は参加してみてくださいね。
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